づくり

種まきから収穫まで、生き物の力でお米を作っています。馬たちの力によって、お米を持続的に作ることは海外に依存したエネルギーや食からの自立へと向かう力でもあります。自然と共存しながら暮らしていく技術を未来へつないでいきたいと思います。

種まき~育苗

冬の寒いうちから種もみを田んぼの土で洗い馴染ませ、種は選別や消毒はせず上流の新鮮な水に入れ替えながら種をゆっくり起こしていきます。田んぼに敷いておいた藁を退け、苗代を作り種を蒔きます。種もみは疎に蒔き、手で背中を押すようにして土になじませます。苗は5枚の葉が出るまでしっかり育て、1本づつしっかりした太い根ができていきます。

田おこし

土を耕すのは馬たちの力に頼ります。犂(すき)という道具を使って一列づつ土を掘り起こしていきます。一列10cmほどの幅が耕せるので繰り返し行き来しながらの作業になり、一枚の田んぼはとても広く感じますが、手で耕すことを考えればとても早いものです。仕事を覚えた馬たちは溝に沿って自分で歩いていき、人は馬と息を合わせて歩いていきます。田んぼは毎年耕さず、水抜が多くなってきた田んぼだけを耕します。

代掻き(しろかき)

耕した田んぼでは、荒しろ、本代、植代と3段階の代掻きの手順があります。多くの土を動かさず、表面だけを緩くして田植えしやすくします。代掻きは馬鍬(まんが)という道具を使って、土を練るようにグルグルと回りながら歩きます。土がトロトロになって浮いてくるまで回ります。

田植え

植代(うえしろ)の翌日は田植えです。苗代(なわしろ)から大きくなった苗を根を切らないように丁寧に取り出していきます。田んぼにまっすぐに引いた場所へ40cm間隔で1本づつ丁寧に植えていきます。苗は1本でも沢山の茎に分蘖(ぶんけつ)し、田んぼを埋め尽くすようになります。植え始めたら一気に終わらせる必要があるので、小さな田んぼが向いています。

草取り・水入れ

草が小さいうちに田打車を押して株間を掻き混ぜます。株の近くは取りきれないので、草が大きくなってしまったら手で取っていきます。特にヒエを大きくしないように畔にモグラが開けた穴をふさぎながら苗に合わせて水を深水にしていきます。田んぼには用水路から入った水がゆっくりと田んぼに入るように、長い水路を作っています。ここは沢山の生き物の隠れ家になっています。

稲刈り、脱穀、唐箕(とうみ)

稲刈りは遅く、自然と水が切れて乾いていくのを待ちます。手で稲を刈り取り、縛ってから帽子状に広げ乾かします。田んぼ一面に広がった帽子を夕方にはハデ場に掛けていきます。手で命を刈り取る作業は、実りの実感と自然への感謝の気持ちでいっぱいです。乾いた稲は足踏み脱穀、フルイ、唐箕と人力機械を使って籾にします。

馬耕米へ

取れた籾は必要なだけを、その都度玄米や白米にしています。馬だけではなく田んぼにいる多くの生き物や土や水、空気の自然の恵みによって食べ物が得られることに感謝しています。